rekordboxのAuto GainがCDJに届かない理由
rekordboxのAuto Gainは、rekordboxの中だけで働く設定です。PERFORMANCEモードやEXPORTモードのDUAL PLAYERレイアウトでrekordboxが再生している間は音量をならしてくれますが、その数値はファイルに書き込まれません。USBに書き出しても数値は付いていかないので、USBを読むCDJからは見えません。ラップトップではそろっていた音量が、ブースではそろわない。同じセットの中で1曲だけトリムを3時まで回すことになるのは、これが理由です。Bake'n DeckのHeadroomは、そのゲインをファイルそのものに書き込みます。
どこで止まっているか
| どこにあるか | USBの先まで届くか |
|---|---|
| Auto Gainの数値(rekordbox側) | ✗ 届かない |
| ビートグリッドとキュー(ファイルとXML) | ✓ 届く |
| ファイルに書き込まれたゲイン | ✓ 届く |
構造は並び順の問題と同じです。rekordboxの中だけで完結している機能は、USBの先にあるCDJには引き継がれません。KeyとBPMの並び順が消えるのも同じ理由です。
ファイルに焼き込むとどうなるか
Headroomは各曲のLUFSとTrue Peakを実測し、1曲につきゲインを1回だけ変えます。静かな曲は上げ、大きい曲は下げて、全曲を同じTrue Peakの天井(-0.5 dBTP、AES TD1008 §7B)の下に収めます。
- リミッターは使いません。波形の形は変わらず、ダイナミクスはマスターのままです。
- ラウドネスをそろえるわけではありません。そろえるのはTrue Peakの天井なので、曲ごとの表情は残ります。最後は耳で合わせてください。
- MP3とAACは再エンコードしません。MP3はglobal_gainフィールドを書き換えるだけなので、ゲイン以外は元の音声データのままです。
- その場で上書きするので、キューもビートグリッドも切れません。実行のたびにバックアップを取り、ワンクリックで元に戻せます。
トリムを大きく回すことになるのは、たいてい古くて音の小さいファイルです。その手間がなくなります。
ファイルの中で音量をそろえるもう1つの方法は、統合ラウドネスをLUFSの目標値にそろえることです。2つの方法の違いはDJのラウドネスノーマライズ:LUFSの目標値か、True Peakの天井かで比べています。
よくある質問
rekordboxのAuto GainはCDJで効きますか
効きません。Auto Gainはrekordbox自身のデッキとミキサーで使う設定で、その数値はrekordboxのライブラリに残ります。USBに書き出しても数値はファイルに入らないので、USBを読むCDJからは見えません。
rekordboxのAuto Gainの設定はどこにありますか
環境設定の[コントローラー]→[ミキサー]→[オートゲイン]です。[有効]にすると、デッキにロードした曲の音量をrekordboxが自動で調整します(rekordbox 7.2.18取扱説明書、234ページ)。曲ごとの値は[GRID EDIT]パネルの[Auto Gain]ツマミで確認でき、手で変えることもできます(138ページ)。EXPORTモードの[DUAL PLAYER]レイアウトにも[AUTO GAIN]があります(121ページ)。オフにすると、ファイルに入っている音量がそのまま鳴ります。CDJで鳴るのと同じ音量です。
Auto Gainはどのレベルを目指していますか
rekordboxは説明していません。2026年10月2日に6曲で計測したところ、Auto Gainの値は「約-10 LUFS − その曲の統合ラウドネス」と0.1 dB以内で一致しました。再生時にラウドネスをそろえる仕組みで、曲を下げるだけでなく上げることもあります。
USBだと曲ごとに音量が違うのはなぜですか
曲そのもののラウドネスが違うからです。rekordboxの中ではAuto Gainがその差を吸収していますが、その補正はUSBの先までは届きません。結果として、ミキサーのトリムで補うことになります。
ファイルにゲインを書き込むと音質は劣化しますか
MP3とAACは再エンコードせずに書き換えます。MP3ならglobal_gainフィールドを書き換えるだけなので、ゲイン以外は元の音声データのままです。
リミッターやコンプレッサーはかかりますか
かかりません。1曲につきゲインを1回変えるだけなので、波形の形は変わらず、ダイナミクスもマスターのままです。
全部の曲が同じ音量になりますか
なりません。そろえるのはTrue Peakの天井で、ラウドネスではありません。曲ごとのダイナミクスの差はそのまま残るので、最後は耳で合わせてください。
キューやビートグリッドは消えませんか
消えません。ファイルはその場で書き換えるので、rekordbox側のリンクは切れません。実行のたびにバックアップも取ります。
TraktorやSeratoと併用できますか
できます。Headroomはファイルをその場で書き換えるだけで、パスも長さもサンプル数も変わりません。MP3とAACは再エンコードもしません。DJソフトがファイルの中に書き込んだマーカー情報も、バイト単位でそのまま書き戻します。キューやビートグリッドの基準が動かないので、どのソフトも解析結果を保ったままです。
使っているDJソフトのオートゲインと競合しませんか
ひと手間だけ必要です。TraktorもSeratoもrekordboxも、自前の解析で求めたゲイン値を持っています。ファイルの音量を変えると、その値は変更前の音量を前提にしたまま残ります。解析をやり直すか、ソフト側のオートゲインを切ってファイルに焼き込んだ音量をそのまま鳴らすか、どちらかを選んでください。後者はUSBを読むCDJと同じ状態で、Headroomはもともとそのための道具です。
rekordboxで仕込んでTraktorでプレイするときはどちらで実行すればよいですか
どちらでも構いません。Headroomが触るのはデータベースではなくファイルなので、結果は両方のライブラリに反映され、どちらのキューも残ります。Lexiconのような同期ツールもファイルパスで照合するので影響を受けません。まずはプレイリスト1つで試して、キューをいくつか確認してみてください。実行のたびにバックアップが残ります。
Traktorで解析し直してもオートゲインが曲ごとに違うのはなぜですか
仕様どおりです。HeadroomがそろえるのはTrue Peakで、ラウドネスではありません。実行後はどの曲も同じ天井に並びますが、圧縮の強いマスターは、トランジェントでしかピークに届かないダイナミックなマスターより体感では大きいままです。Traktorのオートゲインは出力レベルをそろえるために解析時に決まる値なので(何を測っているかはNative Instrumentsの資料に記載がありません)、曲ごとに違う値を出し続けます。そこに残っているのは、マスター同士のダイナミックレンジの差です。また、MP3とAACは1.5 dB刻みでしかゲインを動かせないので、天井ちょうどではなく1ステップ以内に収まります。Traktorの中で音量をそろえたいならオートゲインは入れたまま、CDJで鳴る音をそのまま確かめたいなら切ってください。
Macアプリのバックアップはどこに作られますか
音源の隣です。アプリの中ではありません。処理した曲に共通する親フォルダにbackupフォルダを作り、その中に実行ごとのyyyyMMdd-HHmmssフォルダを作ります。プレイリストモードでは、その実行に含まれる全曲が共有する一番深いフォルダが親になります。複数のボリュームにまたがるプレイリストなら、ボリュームごとにbackupフォルダが1つずつできます。中身は元のフォルダ構造のままなので手作業でも戻せますし、アプリを再起動したあとでも、Headroomの「フォルダから復元…」でタイムスタンプのフォルダを選べば、その実行を元に戻せます。
Headroomを使う
Bake'n Deck for MacはMac App Storeで配信中です。プレイリストを選んで解析し、1曲ずつ確認してから適用できます。コマンドライン版のbakenはMITライセンスで無料です。